スノーボードデッキパッドの金型製作
スノーボードのシーズンまであと少しですね。
スノーボードデッキパッドってなかなか良いものが無くて、私はウレタンに両面テープを貼付けてスノーボードに貼付けていました。なかなかカッコ悪いですが、機能さえ満たせれば・・・と考えていました。
しかし、モンスタークリフさんからリフト間の移動でもしっかりホールドできるデッキパッドの製作依頼があり、今までにない画期的なデッキパッドだったため、開発段階から一緒にお手伝いさせていただきました。
モンスタークリフさんのHP
弊社は金型製作と射出成形を行う会社です。
普段は企業の研究、開発、試作部門と小ロットで成形品を製作しています。
量産時に起こる課題を抽出しながら製品形状の提案をすることが得意なため、デッキパッドの開発時には量産化しやすい形状を相談しながら金型製作を行いました。
金型製作から成形品を製作するまでのおおまかな工程としては
- 金型設計
- 金型部材の準備
- 加工プログラムの作成
- 工作機械を使った金型部品加工
- 手仕上げ調整
- 射出成形
になります。
金型設計のポイントは「量産時に滞りなく良品が生産できること」ですが、射出成形での潜在する課題を抽出し、あらかじめ対策を講じながら設計を進めていく必要があります。
3DCADでの金型設計 |
射出成形は金型を閉じた状態で金型内の空間部分に溶融させた樹脂を押し込み、冷やして固めてから金型を開いて成形品を取り出します。
そのため、金型設計時には
- 冷えて固まった時に縮まることを見越して大きさを調整
- 金型内にある空気と樹脂がスムーズに置換できるような構造
- 材料の流れ方を考慮したゲートランナ(材料注入口)の設定
を考えて設計します。
今回の製品は材料の流れが行き止まりになる部分があり、末端まで材料が流れにくくなることが予想されます。
そのため、空気が逃げやすくなるよう「エアベント」を設定します。
エアベントは深すぎるとそこに樹脂が流れ込んでしまうため、0.005~0.02mm程度で設定します。
他にも金型から成形品が離れやすくなるような形状や、適正な肉厚など製品形状を微調整し、お客様と相談しながら金型製作を行っていきます。
次回は金型設計のお話です。
杉山耕治