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金型内のかじり

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今回はプラスチック射出成形時に見られる金型のトラブルに スポットを当ててみたいと思います。 不具合が生じる前にどのような傾向があったかを観察することによって 得た経験値なので、少しポイントがずれているかもしれません。 と前書きさせて下さい。 成形時に何回も金型を開いたり閉じたりしていると 「かじり」という現象が起こることがあります。 かじりとは以下の写真のような状態です。 かじりが起こる主たる要因として摩擦(熱)があげられます。 金型では開閉時に、擦れあう部分が含まれています。 擦れる部分の摩擦が強くなると、金属表面でほんの少しの凝着や剥離が起こります。 この「ほんの少し」というのがポイントなんです。 ほんの少しだけ組織から剥がれたり、他にくっついた部分が 次に擦れる時に研磨剤の役割をします。 すると、更に深い傷をつけて擦れて剥がれて・・・ という事を繰り返すうちにかじりという現象が起こってしまいます。 もう一度先程の写真を。 右側の大きな傷はかじり。 左側にある小さい点はまだ「ほんの少し」の状態です。 この「ほんの少し」が起こってしまえばかじりが発生する確率が非常に高くなります。 かじりは傷が深くなってしまっては、処置が大変ですが早期に気付けば、 傷が浅い状態で対策が練れます。 成形時、特にトライ成形時に金型の状態をよく観察することが大切だと思います。 金型上での対策としては摩擦抵抗を減らす事です。 摩擦係数の少ない鋼材を使う、(表面)硬度を上げる、摺動する部分を 触れるか触れないかぎりぎりの精度で金型を作る以外にも 潤滑性の良いコーティングや、溶剤を塗布する事もあります。 ・・・しかし上記の対策をとっても台無しにしてくれるものがあるんです。 それが、熱膨張と金属の軟化温度です。 金型製作時に使われる環境をいかに把握できるかも大切なポイントになってくるでしょう。 この辺は資料ができたら説明してみたいと思います

ピン測定治具

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工場、現場治具第4弾です。 いまさらですが・・・ 私達はプラスチック射出成型用金型も作っています。 金型には、金型内から製品を取り出す「エジェクト機構」があります。 この機構には長いピン形状の部品が使われることがあります。 ピンは製品の形状に合わせて長さ(高さ)を変えて作る必要があり 異なる長さのピンが必要になります。 製作後、確認のためにピンを測定するのですが 長さが異なるため、数多くのマイクロメータなどが必要になり 測定作業に時間がかかっていました。 そこで作られたのがこれです。 デジマチックマイクロメータヘッドを取付け マイクロメータの測定範囲を超える数値には スライド機構で位置をずらして、位置決め可能な仕組み。 既存の測定具にアレンジを加えて作業効率を改善した治具です。 設計は弊社の社長、製作は当時入社一年目の宮谷が担当。 なんだか結構作り直していたような気もするけど(笑) 本当は2台製作していたのですが、海外の企業が弊社の工場にいらっしゃった時に 高く評価して頂き1台は販売してしまったため、今は1台のみが残っています。 この治具は製作後も少し手直しがされてから現場投入されました。 そして、後日しっかりカバーも製作。 こういう一手間、良いですよね。 道具に対する愛ですね~ (*´∇`*)

マイクロメータ収納ボックス

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工場、現場治具第3弾です。 私達は作ったものが狙った形状にできているか確認するために、測定をします。 測定は長さを測ったり、重さを量ったり、硬さを測ったり。 中でも、長さを測る測定具は形が一様でなく収納に困る物が多い。 マイクロメータも収納に困る測定具の一つです。 ・よく使うので取り出しやすくしたい ・煩雑に扱うと精度が狂うのできちんと収納したい ・使う前に校正もしたい ・道具が毎回所定の位置に戻されているか、目視で確認できるようにしたい そんな現場の作業性を考えて作られたのがこちらです。 塗装は必要ないっちゃー必要ないのですが製作者の趣味で(笑) このBOXの良い所は、異なる測定範囲のマイクロメータが一緒に収納できること、 校正に使うテストピース、スパナが同じ場所に収納されている所。 マイクロメータは気温の変化でも簡単に1μmは差が出るので 使う前に必ず校正は行うようにしてます。 恒温室で測るのが正解なのですが。。。 さらにマイクロメータが戻っているか一目でわかるので、戻していなければ 注意喚起がすぐできます。 ん・・・・・・一つ足りないな(笑) ちょっと探しにいってきます。

ナイロンチューブ用継手の取外し治具

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いやー。 タイトル長い(笑) 工場、現場治具第2弾です。 弊社では工場内でエアを供給するのにナイロンチューブや継手を使っています。 このナイロンチューブ、古くなってくると劣化、硬化してくるんです。 そして・・・・ 本来ならワンプッシュで継手から外せるはずのナイロンチューブが うんともすんとも言わない。 なんてこと、経験したことありませんか? 私は実際、かなり苦労して抜いたことがありました。 ということで継手に効率良く力を伝達できるように 治具を作ってみました。 製作者はあの「菊池」さんです。 材料は樹脂の端材とかペットボトルの蓋とかを流用。 いってみれば、ごみになる予定だったもの。 配管はどこまでも繋がっているクローズループ状を想定して、 本体は分割構造で着脱容易な形状に。  所定の場所にセット。 従来の押す場所(赤い部分)よりも面積が広く力の伝達は容易になってる。 押えこみながらナイロンチューブを引き抜くと・・・ ぽんっ。 抜けました~! え?それだけ? と思うかもしれないのですが、抜けない時は どうあがいても抜けなかったりするんです。 にっちもさっちもいかなくて、どうしようもない・・・ って時に、この道具一つで作業が進むのなら ただのゴミも貴重な一品に変わりますよね。 力を伝達するならもっと簡素な形状も考えられるんだけど この道具はこの形で意味を成してるんです。 困った時に必要な道具って、その場面が何度も起こるとは限らない。 作ったとしても、もう二度と使わないかもしれない。 でも、同じ苦労はしたくないですよね。 ということで忘れないうちに作った一品です。 (´▽`)ノ

BT30用のツール置台

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4年くらい前になるかと思う。 当時、BT30のツールを置く台が欲しくてカタログを見ていたけど 「これが良い!」というのがなかなかみつけられなかった。 ・ツールを置ける ・コレットが置ける ・置くツールが異なった場合にカスタマイズが出来る ・手で持ち運べる これが当時私が探していた条件。 なんだか考えているよりも手を動かした方が早いような気がして 自分の環境にあった置台を作ることにした。 必要最低限の機能を考えてモデルと図面を起こし 自分の希望した機能が満たされるかを確認してから 最終的に作られたものがこれ。 作られてから環境は変わっているが自分が使いやすいと思って作ったからか 今も使いやすいと思っている。 実は、最初に設計した形状に少し手を加えている。 設計が甘いのか、頭の中で想像しているよりも現物を見ながら調整する方が 確実に良いものが作れる。 先日、会社を訪問された方が「これ、売ってください」と言ってくれました。 製作者として、嬉しい言葉ですね。 ものづくりは 役に立ってこそですね。

年末の試験に向けて

目標までもう少しという所まできました。 現在、技術士の試験を受験中です。 部門は機械部門になります。 今年の夏に受けた筆記試験に合格し、11/7に技術的体験論文を提出しました。 残すは今年の年末に控えた口頭試験のみです。 昨年で必要経験年数である7年を満たしため、今年二次試験に挑戦したのですが 私にとって長い道のりだったと思います。 技術士になるきっかけは前職の部長からの言葉でした。 私は当時プラントの改修工事などの施工管理を行う部署にいました。 施工管理といっても、現場に行って管理するだけではなく プラントが改修工事で止められる日数は短く、次の定期改修まで 安定稼働するためにはどうしたら良いかを現地で調査し、対策を練り 改修項目の提案、資材発注、施工計画を立てるなど、仕事内容は多岐にわたるものでした。 当時の私は考えも甘く、人間関係や自身の技術不足、業者との関係など 重圧に耐え切れず、すべてを投げ出したいと思う事が何度もありました。 その中でも、ここぞというときに声をかけてくれたのは部長だったのです。 どの場面でどのような話をしてくれたかは覚えていませんが 印象に残っているのは、決断力、倫理観、技術力 そして社内で皆が避けて通るような非常に困難な場面でこそ 力を発揮していたのを覚えています。 ちなみに、ライフスタイルでオンとオフの重要さを教えてくれたのもこの方です。 私もこの部長のような技術者になりたいと思い、ある時聞いてみました。 「どうしたら私もあなたのようになれますか」 そして答えてくれました。 「私のような人間になる必要はないけど、技術者として上を目指すなら  技術士を目指しなさい。目指す過程で色々な事を学ぶだろう。  私は研究開発や設計から現場を知ることになったが、君は現場をよく見て経験を積みなさい。  現場を見ながらも技術士ならどうするべきかを考えて仕事に取り組みなさい。」 ありがたい言葉でした。 明確な目標ができました。 会社を辞めてもその言葉を大切にし、技術者としてどうあるべきかを 考えながら過ごしてきました。 この言葉をきっかけに技術士になりたいと思ったのが25歳ですので 9年間かけて今に至ったことになりますね。 考えてみれば、反省すべきことは山

東京国際航空宇宙産業展2011 と電気通信大学

今日は午後一番から、ビックサイトで開催されている 東京国際航空宇宙産業展2011に行ってきました。 展示会を見ていると、難削材と言われる材料の加工方法についつい目がいってしまいます。 以前に比べてCFRPなどは加工できる会社も増えているように感じました。 今後はCFRTPの普及も見込んで、成形後の熱可塑としての加熱変形加工をする加工業者も 増えるのではないでしょうか。生産性を考えると今後も電磁誘導での高速加熱技術は必須かもしれません。 展示会場には学生も多く、今後の産業としての重要性が伺えました。 会場では以前からお会いしたかった、前田シェルサービスの前田社長とお会いする事が出来ました。以前からツイッターやFacebookでやり取りはさせて頂いていたのですが、お会いしたら商品説明を真面目にして頂いたので、すごく驚きました(失礼ですみませんw) 必要とされる製品を的確に提供されており、技術力も高く勉強になりました。 エアフィルターを通過した粒子の数量を測定器で見させた頂きましたが 通常の大気中には 3μmの粒子が 数十万個/L あったのが フィルターを通した先では ほぼ0になるという実演もして頂きました。 見えない物ですが数値で実演して頂き理解しやすかったと思います。 会場にいたのはほんの1時間。 タッチアンドゴーで次の目的地、電気通信大学に。 電気通信大学では、ミナロの緑川社長、ペッカー精工の小泉社長、 モルテックの松井社長という中小製造業でもカリスマと言われる 社長たちを集めての講演とパネルディスカッションが行われました。 三者三様、講演内容は全く違う内容でしたが ものづくりが好きだというのは話の中で凄くわかる内容でした。 学生さんにも伝わっていると思います。 就職活動は、安定した企業に入りたがるのは当然だとは思いますが 大企業に入ってしまえば気付かないような中小企業の楽しさ、大変さ 今後の希望などを社会に出る前に、こういう形で聞くきっかけが出来た学生は 羨ましいとも感じました。 講演後は質疑応答の時間でしたが、質問内容が講演内容の中でも 深い部分を質問する学生もいて、これからの日本に対する希望を感じました。 特に技術の流出に対する危機感を学生側も感じているのが分かりました。 私達社

IPF2011に行ってきました

10/25,26でIPF2011に行ってきました。 見てきた感触、今年の傾向などを。 今回の目的は 1.セミナーの聴講 2.各射出成形機メーカーの開発動向 3.マテリアル 4.成形に関わる付帯設備の調査 を中心に見て回った。 見どころのピックアップを。 松井製作所内にあるヒート&クールの製品サンプルは 一見の価値があるでしょう。(三菱商事テクノス) 特にメタリック樹脂は射出成形によるウェルドラインで 均一なメタリックにはならないのですがこれが上手くクリアできている。 導入に際しては、電磁誘導式はライセンス契約が必要などハードルが高く感じる。 成形機では住友のブースにある電磁石式型締め成形機 直圧式の型締め機構を有しているのだが、最後の型締めで電磁石を利用しているようだ。 この機械はまだ販売されておらず、カタログもないので展示会場に行くのであれば 見る価値が高いと思う。(型式:ML500 だったかな?) 他には加飾関係で第一実業やMIMAKIのブースでは 曲面形状の樹脂へのインクジェット印刷機などが展示されている。 第5ホールの真ん中に、日本金型工業会の団体で日本の名だたる金型メーカーや 付帯設備のメーカーが出展している。 他にも見てまわった結果、マテリアル関係など私が欲しい情報が聞けたので 結構満足している。 今回成形機メーカーを見て思ったのは、国内企業向けというよりは海外向け しかも、ハイサイクルを競っているのがよくわかった。 ハイサイクルは方向性としては間違っていないのだが 私は成形機に求めるのはハイサイクルではなく、どういう構造にすれば 成形機が機械的に向上するかを工夫している事が大事だと考えている。 説明員によっては「低コスト」や「環境配慮型の」という言葉が多く聞ける。 「環境にやさしい」は売り文句であり開発段階ではそこが本当の狙いというのは 少ないのではないだろうか。 営業と開発、技術の説明員では説明の切り口も変わってくる。 どちらかというと、私は技術の方に説明してもらった方が楽しい。 色々説明を受けながら話を聞くのも展示会の醍醐味だろう。

事故報告書

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弊社には事故報告書という書類がある。 機械の故障や操作ミスなど比較的軽微な事故から 怪我につながるような重大事故においてもこのファイルにまとめられている。 内容としては 1.発生時期 2.発生状況の詳細 3.その時の対応 4.原因の追究 5.今後の対策 について記録してある。 ここに書類を残せば会社が存続している限り残ることになる。 さて、問題はこの書類をどのようにとらえるかだ。 一見不具合を記録する事は個人の面子からすれば、あまり好ましくない事だろう。 しかし、私がこの会社(ミヨシ)に入ってこの書類を見つけた時は 素晴らしいと感動したのだ。 それは、先駆者たちが失敗した事案を書き記す事により 後から入った人は、同じような失敗をしなくても済むかもしれないからなのだ。 「技術は見て盗め」とよく言うが、重大事故は起こってからでは取り返しがつかない。 ヒューマンエラーとはいかに対策を講じていても、外的要因やメンタル的な要素からも、 事故につながることは多々ある。 だからこそ、出来るだけ事故が起きないよう、ミスは記録で残し、可能な範囲で対策を考え、 水平展開して周知徹底する必要があるのだと思う。 少し大げさだが「自分のミスは会社の財産になる」くらいの気持ちであれば、内容も充実するだろう。 ものづくりは失敗から学ぶべきことが多い。 私はたまにこの書類を見返す。 特に自分の書類については、昔はこんなもので・・・と笑ってしまうものもあるが 未だに克服できていない事もある。 そして他の人が記録した書類は、自分の環境の変化と共に違った視点から 見る事が出来るので、見るたびに参考になる。 もちろん、ミスは起こさない方が良いんですけどね。 ちなみに上の画像は数年前作成した私の事故報告書です  ( ̄ε ̄;|

第1回横浜金属加工研究会

9/26は横浜にあるメディアビジネスセンターで 横浜企業経営支援財団主催の金属加工研究会に参加してきた。 基本的には横浜の企業向けだと思われるのだが 他県に会社がある私も参加させて頂いている。 前プログラムは金型加工技術研究会と題して 放電、切削加工、金属造形、プレス加工など毎回わくわくしながらも 頭からもくもく煙が出るような内容の講義が企画されていた。 今回は 1.各種金型材料の耐食性について 2.高分子とその成形加工技術 についての講義だった。 震災の影響で実施できなかった金型加工技術研究会の分を 今回実施してくれる運びとなったのだ。 社内回覧用もかねてメモ書き程度にまとめてみた。 1.各種金型材料の耐食性について 腐食の二大反応はOとHの電子反応(カソード反応、アノード反応) Evansの実験では 硫酸ナトリウム+フェノ-ルフタレイン+ヘキサシアノ鉄酸カリウム水溶液 の水滴を落とす事により、電子の移動により水滴の中心部ではアノード反応により青く 外周部ではカソード反応により赤紫の反応が見られる。 液の色で酸化と還元の初期反応が見られる。 インド、デリーのクツブミナール寺院の柱はウーツ鋼で作られ、 5世紀から存在している錆びない鉄として有名。 →不動態被膜の形成か? 不動態被膜とは金属の表面に(酸化)被膜を形成する事により 中の部材が酸化しない状態の事。 つまり、外部と丁度よく呼吸が出来ている状態。 不動態被膜が壊される環境は材料により異なるため、この不動態域でいられる 範囲が広いほど耐食性がある。(という風にとらえました) 水中では適度に酸素(空気)を供給する事により不動態被膜が生成し錆が発生しない。 では、ワイヤー放電加工機ではどうだろうか? →不純物が多く不動態被膜を壊す事になる→被膜破壊イオン(塩化物や硫酸イオン) →亜硝酸イオンの添加により腐食性イオンの除去が可能。 超硬合金の窒化物被膜は高温アルカリ水処理で可能。 TiALNはエンドミルのコーティングによく見られるが、高温、アルカリで除去が可能だと 水溶性切削油(弱アルカリ)で切削熱による影響をどのように見るかの質問も出た。 他には個体分子形燃料電池用ステンレルセパレータの開発についても 話

樹脂の流れ

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突然ですが 熱可塑性樹脂(プラスチック)は溶融状態では非ニュートン流体です。 粘性流体でせん断速度分布がニュートン流体と違う傾向にあり ニュートン流体を基準とした流動解析などは適用しづらく 個々のプラスチックの粘性を確認したうえで圧力損失を考慮した流動解析が必要になる。 と、突然言われてもピンとこないですよね。 私達が扱っているプラスチック材料は 熱をかけて溶かして金型の中に流し込み、 金型の中で冷やして固めて、所定の形状の 製品をつくる。 これが成形と言われる作業なのだが この樹脂というのは私たちが実生活の周りにある「水」のような 液体の流れと少し異なる。 そこで、成形という作業には、あらゆる形状の製品を作るにあたって、 毎回違った現象が起こり、問題が起きた時に素早く対処するためには、 相応の経験が必要になる。 しかし経験とはすぐに手に入るものではない。 そこで、解析ソフトなどに頼る事もある。 経験が足りないのであれば、観察は必要である。 上の写真は樹脂の流れの傾向が分かりやすく出ている。 右にあるほど材料は充填途中であり、形状が形成されていない。 写真下側から樹脂を流し込み、写真上の方向に向かって流れていき 壁にぶつかった事でうねうねした形状が形成されている。 注目すべきは傾向である。 うねうねとまるでソフトクリームを上の方に流し込むかのように 樹脂が流れていき、樹脂を充填している付近はうねうねが形成された後に 一様に形が形成されている。 この現象をジェッティングと呼んでいるのだが、非常に悪い現象の一つ。 うねうねした部分に空間が開いているため、後から樹脂が流れて来ても 完全に空気が逃げなくなってしまう。 例え樹脂を思い切り押し込んだとしても、製品にうねうねの跡が残ってしまうのだ。 成形作業で圧力や流速の調整でジェッティングをコントロールするのは非常に難しい。 つまり成形の前工程で、この現象を防ぐ対策を講じる事が必要になる。 この現象が起こりうる形状や材料を予め知っていることにより 製品設計、金型設計での対策が可能になる。 冒頭に書いたように流動解析などを使用して傾向を探す事は 大事な工程の一つだ

アルミニウムの腐食

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一般に金属類の腐食と聞くと「さび」である赤茶色に 変色した状態を思い浮かべる。 私達の生活の中に金属類が沢山あるのだが 腐食させないように表面処理が施されているおかげで腐食しないで済むものが多い。 金属類の中の一つ、アルミニウムは腐食しないのだろうか。 上の写真は、腐食確認用テストピース。 材質はアルミニウムA7075。 テスト的に腐食しやすい環境を作り 腐食の進行具合を確認したものだ。 生活の中にあるアルミニウムの製品は酸化被膜を生成させて 予め腐食が進行しないように処理されていることが多い。 そうでなくとも、アルミニウムは酸化被膜を形成しやすく 簡単には上記写真のようには腐食しない。 では、なぜわざわざ腐食させるようなことをしているのか。 弊社はアルミニウム合金で金型を作るため どのような環境下で、使用する材質の損傷が早いかを 見極めなければならない。 色々なテストを行う事により、金型がダメージを受ける環境を把握し 寿命を延ばす対策が練れるからなのだ。

買うときの判断は

先日買い物に出かけた時考えた。 必要な物だけを買いに行く場合と 何か良い物があるかもしれないので、色々な物を見る場合。 後者であった場合、「買う」という判断はどこから来るのだろうか。 私の場合 ①見る   ↓ ②興味を持つ   ↓ ③手に取る   ↓ ④物と自分の関係を考える   ↓ ⑤買うか買わないか判断する だったのだ。 人により差異はあると思うのだが、物を買うときには 何段階も乗り越えるべき障壁がある。 ②興味と⑤判断の部分が人により大きく異なる部分ではないだろうか。 私の物に対しての一定の評価は 「いつかごみになる」 なのだ。 ごみにならない物は殆どない。 再利用であっても最終的にはごみとなるし 再生されると考えても、いつかどこかで再生サイクルから外れる時期が来る。 物は人の生活を豊かにすることが多いが、それは 地球の将来にとってどのような影響を及ぼすのか。 作る側の立場として、物を手に入れる人が どのように感じるかは意識していきたい。

弊社の器用な若手

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今日は弊社の若手の紹介。 金型製作見習いの松野君。 年齢は・・・20代後半! とにかく手先が器用で入社当時これは才能があるな・・・ と思わせる程刃物研ぎや磨きなどの手加工技術の向上が見られた。 で。 CADの使い方、MC等の操作を一通り教えた後に 恒例の 「好きな物作ってみよう」 で彼が作ったのはこちら!                ? 私   「なに?これ?」 松野 「歯です」 私   「歯?」 松野 「歯です」 思わず二度聞き。 そうか、松野君は歯が好きなんだな。 歯に対してかなり思い入れがあるのだろう。 そんな、思い入れがあるものを悪く言ってはいけない。 と、心の中で思いながらも質問を続けた。 私   「どうやって作ったの?3D作ってからMC加工?」 松野 「手加工だけです。リューターしか使ってません」 その・・・なんていうか色々な加工方法教えたんだよね。 3DCAD、CAMとかMCとか・・・ その中でも手加工でしかもリューターって・・・ いや、ある意味凄い! よっぽど手加工に自信がないとやらないと思うのだが。 しかし、なんだ・・・・ 見ているとリアルすぎてちょっと歯が痛くなる・・・ そんな松野君。 後日、ほっぺたを膨らまして出社してきた。 どうしたのかと聞いたところ、虫歯が悪化して・・・と。 とにかく、漫画でしか見たことのないような腫れ方だったので 医者に行って診てもらったところ、抜歯することになった。 ・・・歯は大切にね。松野君。

尾瀬ハイキング(その3)

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残暑厳しい中、皆様いかがお過ごしでしょうか?ご無沙汰しております。笛男です。 もうすっかり、お盆も過ぎてしまいましたが、まだここは5月下旬の尾瀬(・・・)。 ということで、尾瀬ハイキングpart 3(完結編) スタートです。 さて、ランチを終えた我ら一行は、今まで来た道を戻り、 大清水までの帰路に着きます。 (ああ、雪が懐かしい・・・) 三平下の休憩所でコーヒーブレイク。 ストーブの暖かさがうれしいです(この時は・・・)。 そして、峠アタック。往路で下ってきた斜面を、今度はズカズカ登っていきます。 なかなかの斜度です。 峠を通過。別のグループが一休みしていました。 もう帰りは慣れたもんです。テンポ良く雪を踏んでいきます。 道なき道を進みます。調子に乗ると、やはりズボっと足が抜けます。 頭の中でどこからか、水曜スペシャルのテーマが・・・w 赤字のテロップで、「突如として隊員を飲み込むクレバスの深い闇!」 とかなんとか妄想w とうとう雪がきれました。なくなってしまうと、名残惜しいものです。 岩清水のポイントまで戻ってきました。湧き水を飲んで、生き返ります。 ここまでくれば、もうちょっと! いやあ。新緑の季節だったんですねえ。残雪の残る上の方はまだでしたが、 降りてくると木々が一斉に芽吹いていました。 さてさて、大清水の駐車場に戻ったら、「物見小屋」さんで食事です。 朝とりたての山菜! これで・・・ 揚げたての天ぷらそば!衣がサクサク!そして山菜のほろ苦さ! 蕎麦も乱切りの田舎風で、最高! そしてこれは鹿肉(!)の串焼き。ワイルドです。 これを食べれば、たとえ腕白でもたくましく育っていきそうです。 帰りは、沼田市の道の駅にある温泉「望郷の湯」で汗を洗い流し、 さっぱりしたところで東京への帰路に着きました。やっぱ締めは温泉ですね! 参加者の皆さんお疲れ様でした!企画してくれた菊池さんありがとう! そして最後まで読んでくださった皆さん、(のびのびにな

技術士二次試験

昨日、技術士二次試験を受験してきました。 部門は機械部門、科目は加工・ファクトリーオートメーション及び産業機械です。 1次試験は3年前に合格しており 経験年数7年以上を満たすまで待ってからの試験への挑戦でした。 事前勉強は今まで取り組んだ業務内容から 苦労した案件、環境対策の事例を中心に おさらいするような形で試験対策をしました。 また、今回は原子力発電所被災の件から エネルギー問題への対応策が出るのではないかと 想定していました。 結果は予想していた問題とは遠く離れており 問題文を読んだ瞬間に血の気が引いていくのが分かりました。 しかし、これが技術士二次試験なんだよな。 この試験を受けれる舞台にいるだけでも自分にとっては幸せな事なんだ。 と気持ちを切り替え、何度も問題文を読み返しました。 おそらく20回以上読み返していると思います。 問題文を読んでいるうちに、自分の考えが少しづつ 断片的に出てきて、まずはそれをキーワードとして書き出すところから 始めました。 ちなみに午前の必須科目は設問2問で1問選択 答案用紙600字詰め2枚半以上3枚以内。 試験時間は2時間30分。 午後の専門科目は選択問題で2問選択 それぞれ答案用紙600字詰め2枚半以上3枚以内。 試験時間は3時間30分。 自分の中で考える時間を40分までとして試験に挑みましたが、 各問題1時間は考えていたのではないかと思います。 事前に答案用紙3枚に文章だけを書く練習をしたところ 最短で50分でした。綺麗な字で回答しようとすれば 60分以上は必要だと認識していました。 全ての問題に対し、回答用紙いっぱいまで埋めましたが 最後の方は分の構成も悪く、設問に対する回答内容が ずれてしまったと思います。 やはり論文を書く練習が足りなかったと後悔しています。 しかし、こんなに短時間で真剣に設問に対し 今持ってる知識や考えを総動員して回答する試験は 私にとって凄く良い経験になりました。 正直、受かっている可能性は低いと思いますが もし受かっていれば次は経験論文の提出と 口頭試験が控えています。 今回の筆記試験の合格発表から、経験論文の提出期限までは わずか2週間と短いため、合格発表を待っていてから書き始めるので

段ボールを仮閉めするための~

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段ボール。 軽くて丈夫。 だから梱包材によく使われるんだよね。 で、製品を入れていって、まだ完全に封をしたい訳じゃないけど 仮閉めしたい!ってことありませんか? はい、「あるある~」という声が聞こえてきそうです。 1.テープ貼る これよくやるんだけど、剥がす時に余計な部分まで剥がれて ごみは出るし、剥がすの失敗すると汚くなる可能性大。 2.おもりを乗せる これも良くやるね。セロハンテープの台とか穴開けパンチとか。 これは、道具使いたい人が持って行ってしまって、いつの間にか 箱が空いた状態になってしまう、なんてことも。 はい、ということでね 毎度毎度、前置き長くてすみませんね。 今回も菊池さんが トリッキー 便利な物を作ってくれました。 これです! プラスチック製です。 使い方は 片側の空洞部に挿して~~ 反対側にも差し込むと~ はい! 見事にしまって・・・ 惜しい!! 菊池さん惜しい!!! なんかちょっとだらしない閉まり方になってるけど。 いや、でも、なんだ。 機能満たしてるから良いよね。うんうん。 ちょっと惜しいけどね (*´∇`*)

尾瀬ハイキング(その2)

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笛男です。ここんトコ少し立て込んでまして、久々の更新ですが、どうぞよろしくお願いします。 では、尾瀬ハイキングパート2です。 ・・・峠を越えた我々ミヨシ一行は、尾瀬沼に向かって雪の斜面を下りて行きます。 ゲレンデ的な光景です。帰りは、ここを上ってこなくてはいけません・・・ もちろん、この時点ではそんなことは想定してません・・・ で、下ってくると、尾瀬沼の沼畔にでます。休憩ポイントの、長蔵小屋までのルートを確認します。 尾瀬の写真でよく見かける、木の桟橋はところどころ雪に埋まっていて、見えなくなってます。 踏み外すと、ズボっと足が落ちるので注意です。 尾瀬名物。ミズバショウです。いたるところから咲き始めていました。 おそらく、日当たりのいい所は、雪が解けて桟橋の上を歩けますが、滑りやすいので これまた注意です。 左下にミズバショウ。 ミズバショウが一斉に咲いてます。 小屋が見えてきました!長蔵小屋です。ここの休憩所で食事にします。 スタート地点の大清水からここまで約7km。時間にして約3時間半。雪の峠を乗り越えて、 いやぁがんばった。 メシ!メシ! 気合入ってます。米2kと飯盒! 皆に振舞ってくれるのか、それともここで暮らすのか・・・。 いわく、「集合時間に遅れそうで米を小分けにしてる時間がなかった」 から、袋ごとリュックにぶっこんできたそうで・・・ サイコー過ぎる。松っちゃんw しっかり栄養補給をして、ゆっくり休んで、帰りの体力を養います。 松っちゃん、しっかり飯盒でメシ食ってます。 ビジターセンターの前で記念撮影ぱしゃり。 さ!後半戦はじまります! (その3につづく)

尾瀬ハイキング(その1)

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笛男です。初投稿なので、皆様どうぞよろしくお願いします。 さてさて。わがミヨシでは去る5月28日に、前出の菊池さん号令の下、有志を集めて尾瀬まで ハイキングに行ってきました。 前日の夜に出発して、夜を徹して移動し、早朝から活動を開始する強行軍です!(だから有志) まずは出発前に(珍しく?)記念撮影ぱしゃり。 ハイキング当日の天気予報は降水確率80%・・・移動中も大雨に降られたりして これから立ち向かうであろう困難に覚悟を決めていたのですが・・・ まあなんとか、というか、奇跡的に天候は持ちこたえてくれました! 現地、大清水の駐車場に到着後、車の中で軽く(?)晩酌をして、仮眠をとり、 菊池さんの淹れてくれたモーニングコーヒーで眠気を覚まして、さあ出発です。 ちなみに、プロっぽいスタイルの紳士は、ウチの社長です。 しばらくは平坦な道が続きますが、途中から登りになります。息が切れます。 途中にはこんなオアシスも。クセがなくておいしい水でした。水筒にもたっぷり補給。 登る登る。 そして雪が出現!残雪です。 銀世界!?今思い返すと、雨に降られなくてほんっと良かったです。 このダイナミックな景観の変化、たまりませんね。寝不足のことなんかすっかり忘れてます。 峠に到着!標高1762m。スタート地点の大清水が1190mなので、572m、登りました。 あとは降りるだけ!転んで雪だるまにならないよう気をつけて行きます。 (2に続く)