投稿

2021の投稿を表示しています

スノーボードデッキパッド 安定した成形に向けての金型設計

イメージ
今回は金型設計の一部についての説明です。  デッキパッドの形状は機能性を維持しながら軽量化と強度を兼ね備えた形になっています。 そのため複雑な形状になっており、安定して成形するには少々難易度が高くなっています。 金型設計時には射出成形を行った際に安定して成形できることを念頭にどのような金型構造にするか考えます。 1.成形時に材料が安定して充填できるか 2.成形後に反ってしまったり、部分的にヒケてしまわないか 3.金型から製品がスムーズに取り出せるか 上記のうち、2と3については製品設計や金型設計の段階でどのような形状が好ましいか話し合いながら形状を形成していきました。 少しの調整で改善するものもありますが、形状を思いっきり変えないと改善しない課題もあります。それが、1の「材料が安定して充填できるか」というところでした。 今回上の画像の矢印方向から樹脂を充填します。 材料は矢印方向の先に向かって流れていきます。 溶融した樹脂は、溶けているとはいえ、水のようにサラサラなものではなく、どちらかというと粘土のように変形はするけど固くて流れづらいイメージです。 流すというより押し込むという表現があっているかもしれません。 金型は金属を彫り込んで空間と作り、そこに成形材料を充填する仕組みです。 材料を充填する際は50~100MPaという高い圧力で充填するため、製品以外の部分に材料が流れないよう、製品以外の部分は密閉されている状態です。 そのためその空間の行き止まりになる個所、上画像の赤点線の部分は最後に材料が充填される部分であり、ここに空気が押し込まれて留まることが予測されました。 今度は製品ではなく金型の画像で説明です。 金型で赤点線の部分に空気がたまるので、どうにかして空気を逃がす仕組みを作る必要があります。 そこで今回は金型を紫部分だけ分割して製作し、「エアベント」を作ることにしました。 エアベントを施すことで、金型内に入ってくる樹脂と金型内に元々入っていた空気が無理なく置換出来て、先端まで材料を充填することができます。 エアベントなどの細工は製品の表面には出てきませんが、安定して成形するためには必要な細工になります。 このような細工はいわば裏方なので、製品ではわからないように施していきます。 今回はエアベントを例に出しましたが他にも製品が安定して成形できるような仕組みを

スノーボードデッキパッドの金型製作

イメージ
 スノーボードのシーズンまであと少しですね。 スノーボードデッキパッドってなかなか良いものが無くて、私はウレタンに両面テープを貼付けてスノーボードに貼付けていました。なかなかカッコ悪いですが、機能さえ満たせれば・・・と考えていました。 しかし、モンスタークリフさんからリフト間の移動でもしっかりホールドできるデッキパッドの製作依頼があり、今までにない画期的なデッキパッドだったため、開発段階から一緒にお手伝いさせていただきました。 モンスタークリフ さんのHP https://monster-cliff.jp/ 弊社は金型製作と射出成形を行う会社です。 普段は企業の研究、開発、試作部門と小ロットで成形品を製作しています。 量産時に起こる課題を抽出しながら製品形状の提案をすることが得意なため、デッキパッドの開発時には量産化しやすい形状を相談しながら金型製作を行いました。 金型製作から成形品を製作するまでのおおまかな工程としては 金型設計 金型部材の準備 加工プログラムの作成 工作機械を使った金型部品加工 手仕上げ調整 射出成形 になります。 金型設計のポイントは「量産時に滞りなく良品が生産できること」ですが、射出成形での潜在する課題を抽出し、あらかじめ対策を講じながら設計を進めていく必要があります。 3DCADでの金型設計 射出成形は金型を閉じた状態で金型内の空間部分に溶融させた樹脂を押し込み、冷やして固めてから金型を開いて成形品を取り出します。 そのため、金型設計時には 冷えて固まった時に縮まることを見越して大きさを調整 金型内にある空気と樹脂がスムーズに置換できるような構造 材料の流れ方を考慮したゲートランナ(材料注入口)の設定 を考えて設計します。 今回の製品は材料の流れが行き止まりになる部分があり、末端まで材料が流れにくくなることが予想されます。 そのため、空気が逃げやすくなるよう「エアベント」を設定します。 エアベントは深すぎるとそこに樹脂が流れ込んでしまうため、0.005~0.02mm程度で設定します。 他にも金型から成形品が離れやすくなるような形状や、適正な肉厚など製品形状を微調整し、お客様と相談しながら金型製作を行っていきます。 次回は金型設計のお話です。 杉山耕治

採用についての考え方

求職者にとって就職活動や転職活動は人生の中でも大きな決断だと私は考えています。 会社側としては、求職者と会社の方向性が合っているか、求職者にとって自社の事業にやりがいを感じ、仕事をすることでその人の人生を豊かにすることができるかを見極める責任があると感じています。 働く目的 仕事の目的も人それぞれです。 とにかく生活費を得るためだけに仕事をしたいという人もいるでしょう。 マズローの欲求5段階のうち、生理的欲求(生活に必要最低限の欲求、ここでは生活費)を満たすためだけであれば、仕事は苦痛だけど我慢してやらなければならない場合があり、仕事を長く続けることが難しくなります。 仕事とは、仕事を通じて自身の行ったことを社会に発信し、人生の中での目標達成や自己実現の欲求を満たすものだと考えています。 自分のやりたいことが会社の方向性と違うと自己実現の欲求が満たされないばかりか、会社の方向性を変えようとするため、組織が機能しなくなります。 ミスマッチは会社と求職者、双方にとって良い結果に繋がりません。 ミスマッチを減らすために 会社として社員の満足度を上げることは大切ですし、待遇や福利厚生については常にその時代に合った最適解を探して行かなければなりません。 対応できることがあれば対応できないこともあります。 特に業務内容によって譲れないこともあります。 例えば弊社の場合は、開発品や試作品の製作を行います。 常に新しいことに挑戦するため、技術力の向上と働く人の資質向上は不可欠です。また、開発品や試作品はとにかく早く結果を出すことが求められます。そのため短納期であったり製作途中の仕様変更があります。変化を好まず、決められたことを淡々とこなし、責任をあまり持ちたくない人にとっては向かない職場です。 求人の時に「休みが多いとか」「居心地の良い空間」「残業が少ない」など、耳触りの良いことを伝えても、入社した後でミスマッチが生じてしまうため、会社の説明時にはリスクやデメリットはできるだけ伝えるようにしています。 会社組織と仕組みづくり 会社は個人では成し得ない目標であっても、同じ方向性の人が集まり活動することで目標を達成できる場だと考えています。働く人は誰一人として全く同じ境遇、全く同じ考えの人は存在しません。異なる考えでも方向性が同じであればお互いが協調し合い助け合うこともできます。 例え

【行動指針】地域社会に対する行動指針

社員の想い 自社の事業は自社だけで完結するものではなく、関係する人、企業などとの関係は非常に重要です。地域の企業、住人とのコミュニケーションを大切にし、まずは挨拶をします。社会的に評価されるような行動ができるよう身だしなみ、ビジネスマナーを向上させ普段の生活にも気を配ります。 ・私たちはコミュニケーションの第一歩として、挨拶をしっかり行います ・私たちは普段から身だしなみや行いには気を付け、相手から気持ちよく接してもらえるよう心がけます ・私たちは正しいビジネスマナーのスキルを身に付けます ・私たちは取引先とのコミュニケーションを大切にしお互い仕事がスムーズに進められるようにします ・私たちは正しい倫理観を培い、社外の人と接する際は相手に流されず、正しい判断で行動ができるよう心がけます。 ・私たちはその場に居ない人の悪口や悪い印象を与える噂話をしません。 ・私たちはオープンファクトリーなどを通じて地域や関係する方々に自社の事業を知ってもらう機会を設けます ・私たちは自社だけでは事業が成り立たないことを認識し、常に謙虚な姿勢と感謝の気持ちをもって業務に取り組みます。 ・私たちは社外から得られた情報や機会には、真摯に向き合い対応していきます。 ・私たちはエネルギー効率を考えた行動や環境負荷が低い素材を活用して、環境負荷を減らしたモノづくりを心掛けて活動します。

【行動指針】会社組織に対する行動指針

 社員の想い 私たちは組織として個人では達成できないような目標を達成し社会の役に立つ事業を行っていきます。 組織がより強力に機能するために、業務の透明性を重視し個々のスキルや業務の見える化を図り、互いに協力しあいながら業務を遂行していきます。 また決められたルールや期限を守り、仲間の行動に対して良いことには賛辞と感謝、間違ったことには気づきを与え修正することで共に成長していきます。 ・私たちは決めたルールや期限を守りお互いの信頼を築き上げていきます ・私たちは小さな目標を繰り返し達成していくことで、お互いの信頼度と組織としての機能を向上させていきます→無くす ・私たちはお互いの業務に関心を持ち、仲間の業務遂行状況を把握すること努めます ・私たちは自分のスキルを見える化し、職場でお互い何ができるか確認し合います ・私たちは年間スケジュールを作成し重要なイベントに組織として挑戦していきます ・私たちは仲間が良いことを行ったときには賛辞の言葉を伝え、また、感謝の気持ちを伝えます ・私たちは仲間が間違った行動を起こっている時には、間違いであることを伝え、仲間に寄り添い間違いを正していきます ・私たちは個々の能力を高め、仲間と協力して達成すべき目標を組織として遂行していきます ・私たちはやりたいこと、正しいと思う事を自分の言葉で発言していきます

【行動指針】社員に対する行動指針

 社員の想い 働く人が成長できる場、特に新人が自分の仕事に誇りをもって成長できる職場環境にしたい。常に他人の意見に耳を傾け、困っている人がいれば助け合い社員全員が協力し合い業務を遂行して自己と会社を発展させていきます。業務の見える化を推進し、効率的に仕事を遂行することと透明性のある職場環境を目指します。 そのために以下のことを実施します。 ・私たちは互いに協力しながら業務を遂行していきます ・私たちは仲間同士で知識や技術を共有し合い社員全員が成長できる環境を作ります ・私たちは新人教育を重点項目として社員全員で取り組みます ・私たちは作業の標準化を行い、効率的に仕事ができるようにします ・私たちは自分の仕事に責任をもち、最後まであきらめずベストを尽くします ・私たちは常に仲間の言葉に耳を傾け理解する努力をします ・私たちは働く環境を常に見直し、5Sや改善活動を行います ・私たちは連絡、相談、報告を漏れなく行います ・私たちは自分の行動が倫理的に正しいかを判断して行動します

【行動指針】製品に対する行動指針

社員の想い 社会から評価してもらえるような良い製品を作りたい。良い製品つくりを実現するには、作る環境、技術、製作時の工夫、品質管理の知識などが必要。 そのために私たちは以下のことを実施します。 ・私たちは社員一丸となり品質管理の知識を高め、お客様に納品する品物の品質保証ができる体制を構築します。 ・私たちは製品が過剰でも過少でもない適正品質になるようなものづくりを行います ・私たちは常に技術力を高め、求められる製作物を適正に製作できるようにします。 ・私たちは余計な手をかけず、効率よく製品づくりを行います。(余計な手がかかる製品は粗くなっていく) ・私たちはものづくりに必要な工具、機械、材料、工法について常に最新の動向を確認し技術を取り入れていきます。 ・私たちは自社だけでは達成できないものづくりは協力会社と協力して、求められる製品が適正なコストで納期通りに完成できるようにします ・私たちは環境に配慮した素材、工法で製品製作を行います

【行動指針】顧客に対する行動指針

イメージ
会社の方向性や私たちがどのように仕事をしていくかを確認するために話し合いを進めてきました。 今回から数回に分けて話し合いの結果を今回から数回に分けて投稿していきます。 お客様に対する会社の姿勢と考え方 私たちは「人の役に立つものづくり」を心掛け、お客様が求めていることに真摯に耳を傾け、お客様に寄り添い一緒に物を作り上げていくことを心掛けます。 私たちがお付き合いするお客様はものづくり企業の研究、開発、設計部署が多くお客様のその先にお客様がいます。 ものづくりを依頼するお客様に関しては、私たちのお客様のその先にもお客様がいます。お客様のその先のお客様に満足して初めて私たちのお客様にも満足していただけます。 「お客様のその先のお客様の満足のために」私たちが技術力を高めお客様と一緒に新しいことに挑戦し、また、課題を解決してものづくりをしていくことが人の役に立つものづくりであると考えています。 顧客に対する行動指針 社員の想い:お客様に信頼して仕事を任せてもらいたい。仕事を行った結果お客様から「ありがとう」という言葉が聞けるような仕事をしたい。 そのために私たち以下のことを実施します。 ・お客様が安心して仕事を任せられるよう、お客様への回答は迅速に行います ・求められる品質より一歩上の品質を目指します ・お客様が何を求めているかを注意深く聞き、理解します ・お客様から安心して相談していただけるよう技術や知識を身に付けます ・お客様とのコミュニケーションを大切にし挨拶、電話応対をしっかり行います ・お客様と決めた納期は必ず守ります

私たちの働く目的とやるべきこと

私たちが働く目的は何でしょうか 仕事はお金を得るためだけではなく「社会の役に立つ仕事」を行い社会全体を豊かにすることであり、「金銭などで対価」を得るのは結果に対する評価の大きさであると考えています。 仕事を受けるうえで常に意識することです。 社会から必要とされる仕事であること 未来の人類からも評価される仕事であること それが社会から認められ評価と対価を得られること これからの将来、何が求められているか 近代では化石燃料を使いエネルギーやものを作るための原料にし便利な生活を実現してきました。 化石燃料の使い方は進化しましたが、「使う事」の先がどのようになっていくかまでは管理できていませんでした。どのようになるか分かっていても今の便利な生活を手放したくなく、見て見ぬふりだったのかもしれません。 100年後、200年後も今と同じ状況が続けられるでしょうか。 今私たちがやるべきことは「地球上のあらゆる生物が自然に進化できる環境を残しながら人類が豊かに進化できるようにする」ことをものづくりの分野で実現することです。 ものづくり企業として目指す方向 今まで培った技術で環境負荷が低い材料でものづくりをする新技術の開拓をしていく デザイン、機能、品質を高めライフサイクルの長い製品づくりを実現する 私たちは行っているのはプラスチックの製品製作です。 マイクロプラスチック問題は最近になって浮上した問題で、私たちの便利な生活を助けてきたプラスチックが適切に処理されず自然界に放出されて起きている問題です。自然に分解されないものは今までの環境を変える要因になります。もしかするとこの先、石油由来のプラスチックは社会から受け入れられなくなるかもしれません。 しかし、石油由来のプラスチックをいきなりなくすことはできません。 今私たちがやるべきは、今までプラスチック製品の製作に携わった私たちの経験や技術で、自然由来のプラスチックの可能性を探して行くことです。自然由来のプラスチックは出来れば廃棄される予定であったり処理に困るのも、例えば間伐材を使用したものなどがあげられます。 プラスチックを適切に捕集して廃棄することができれば、マイクロプラスチックを減らす事ができますが、根本的に発生要因を減らすためには捨てられるものの絶対数を減らす事も求められると考えています。 私たちが使っているものが短いサイクルで

2021年 新年のご挨拶

いつも当ブログをご覧いただきありがとうございます。 新年あけましておめでとうございます。 昨年は新型コロナウィルス感染拡大に伴い、様々な業種が影響を受ける年でした。 弊社も影響を受けるとともに、改めて自社の事業について見直しました。 人類は化石燃料を資源やエネルギー源として活動することで、便利な生活を手に入れました。しかし、すぐに私たちの生活に影響を与えずとも、便利な生活と引き換えに少しずつ環境の変化が生じています。 地球温暖化はその一つと言えます。 地球温暖化により、人類以外も生活環境に変化が生じ、今までいた場所から移動することで人類が今まで出会ったことのない生物やウィルスに遭遇する可能性が高まると考えています。 地球温暖化は気候変化に伴う自然災害も発生させる可能性があります。 私たちが便利な生活をする一方で未来の人類が生活しづらい環境にしてしまうのは好ましくありません。 ものづくりで社会に貢献することを目的した私たちの事業は、本年も地球環境に配慮したものづくりを推進いたします。 お客様に安心して仕事を任せていただき、また、社会から評価してもらえるような良い製品を作ってまいります。 良い製品作りを実現するに、作る環境の改善、技術、製作時のクオリティ、品質管理の知識などを向上してまいります。 新型コロナウィルスの収束について見通しが立たない状況ではありますが、本年も、社員全員が感染症に十分注意し健康を維持し、本当に必要なものを必要な分、お客様に満足してもらえる品質でものづくりができるよう社員一同全力を持って取り組んでまいります。 ブログをご覧の皆様におかれましても、健康で良い一年になりますよう願っております。 感染症が拡大しておりますが、お身体大切になさってください。 本年もよろしくお願いいたします。 杉山耕治