日本機械学会と日本技術士会機械部会の共催イベント
~技術者のキャリア形成による自己実現~と題して日本機械学会と日本技術士会機械部会の共催イベントが開催されました。
開催日:2024年10月19日(土)12:50~17:00
場所:日本大学 タワー・スコラ
私は今回、このイベントの実行委員のメンバーでしたが殆ど機械振興協会の木村さんと日本大学の飯島先生が企画、準備、運営をされていました。本当にお疲れさまでした。
4名の技術者の講演と、講演内容を踏まえてパネルディスカッションを行いましたが、あっという間に4時間が経過するとても良い講演内容だったと思います。
基調講演では労働環境の変化と幸せなキャリア形成と題して、これから求められる技術者の素養について、東京理科大学の山本先生に講演していただきました。
以下は講演メモです
・時代の変化とともに働き方も変化してきている→昔は残業時間の規制が厳しくなかったが今は月45時間を超えられない
・政府はジョブ型雇用にかじを切っている
・ジョブ型雇用のメリット:スキル=報酬の額になる
・ジョブ型雇用のデメリット:専門分野に関連した仕事がなくなれば解雇される可能性が高い
・現状の解雇は4条件(人員整理の必要性、解雇回避努力義務の履行、被解雇者選定の合理性、手続きの妥当性)が揃わなければ、解雇できないが規制緩和議論が活発化している
・転職理由は、生きがいや能力を求めての転職は10~20%、ほとんどがお金のためで63%
・転職したことによる満足度は仕事の内容が50%以上と高く金銭面での満足度はそれほど高くない→仕事の内容が重要なのでは
・転職や解雇に備えて自己の能力とキャリアの証明が求められる⇒社内教育が減っていくと思われる
・能力の証明は資格の取得がマスト
・初期専門能力開発IPD(新卒から5~10年くらいまで)、継続教育CPDが重要
これからのキャリア形成
・論語より:知之者不如好之者、好之者不如楽之者 知る→(知ることよりも)好き⇒(好きよりも)楽しむ
・老子より:吾唯知足(われただたるをしる)→欲を持ちすぎてはいけない
・自分の置かれた状況を肯定し最善を尽くす
・自分を他人と比較しても意味がない
講演を聞いた感想として
技術者はこれから生き残るために限られた時間の中で経験と実績を積まなければならない。昔のように業務を通して長い時間をかけて経験を積むことができないため、自己研鑽は必須になる。
勤め先に将来を保障してもらうような終身雇用は今後望めなくなる。技術者として必要とされためには証明が必要となる。証明は2つあり資格取得と職務実績の記録。資格取得は取る過程が大変だが取得すれば証明となる。職務実績はあとからだと思い出せないことが多々あるため、定期的に記録として残す必要がある→業務の記録として報告書や実績記録の作成は重要
技術研鑽や仕事を楽しくやるためには、他の人から楽しくしてもらうのではなく、自分で楽しさをどうやって見出すかがポイント。
何より最後にお話しされていた論語と老子の話はとても共感する内容で、技術者として自分の軸の作り方について考えるとても良いお話でした。
山本先生の話は30分では足りないくらいの内容で、経営工学が専門と思いきや機械工学の流体工学が専門とのことで。
今回のために色々調べて資料作成してくれたと思うと頭が下がります。
ありがとうございました。
この後、3人の技術者の経験談を含めた講演を聞きましたが、こちらも時代の変化とともに様々な経験をされており、ただ雇われているだけではなく、いかにその時代に合った技術研鑽をしてきたかが伝わりとても良い講演でした(個人情報盛りだくさんだったので内容は割愛)
パネルディスカッションは笑いも交えてすごく楽しく聞けました。
私はマイク係と写真撮影係だったので最前列で聞くことができました。
講演終わりに環境省の峰岸さんとCNF(セルロースナノファイバー)の話題で盛り上がり、今まで試作してきたことがお話しできて良かったです。
最後は懇親会に参加・・・
申し込み忘れたのですっと帰りました。
講演者の皆様お疲れさまでした。
講演で論語の話が出たので今更ですが「論語とそろばん」を読み始めました
杉山耕治